英文解剖学

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加筆修正: 薬袋善郎 ミル『自由論』原書精読への序説への疑問① 譲歩節のmight

(2021年10月25日付で下記リンクの記事後半を中心に大幅に書き直しました。timedやtimelessなどの未定義な術語を排除しました。お読み頂けると幸いです。)

 

薬袋善郎 ミル『自由論』原書精読への序説への疑問①  譲歩節のmight

tmneverdies.hatenablog.com

という記事につきまして、修正したことを報告いたします。書籍「ミル『自由論』原書精読への序説」における当初薬袋先生のmightの解釈について私が誤解しており、「薬袋先生の解釈では"whatever precautions might be taken"の内容が、主節(whose節)の文脈と直接関連性を持たない完全な一般論になってしまう」と捉えていました。つまり、薬袋先生の解釈は過去の被支配者と支配者の関係という文脈から完全に離れており、「一般に被支配者が支配者の統治権の濫用に対してどんな予防措置を取ったとしても」であると捉えていました。

 

薬袋先生に連絡をとったところ、丁寧な返信をいただき、薬袋先生の解釈は「過去の文脈におけるmightは過去という時間(the timed)を含みながら、それを拡張したもの(timeless)」であるとの返信をいただきました。私の記事ではmightも「might have 過去分詞」と同様に、過去の文脈において譲歩節で使用可能という事実を指摘するだけで良いと考えていましたが、薬袋先生とは独立にネイティブとのやりとりを通して「少なくとも現代英語においては、過去の文脈における譲歩節のmightは、『過去の視点からの現在・未来(またはtimeless)の可能性』を表しているのではないか」という仮説を立てていました。id:all_for_nothing様とのやりとりを契機に、私の仮説と薬袋先生の解釈がほぼ一致しているということに気づいたため、記事を加筆修正することとしました。

 

記事は、薬袋先生の書籍や原文を読んでいることを前提としたものとなっていますが、複数の例文を用いて、過去の文脈で譲歩節におけるmightが使用されることやwhatever節の譲歩の性質について考察しており、一般の英語学習者に取っても教育的価値があると思われます。今回の修正を通して、よりニュアンスに踏み込んで解説できたと考えております。

 

薬袋先生につきましては、誤解に基づいた記事を公表したことをお詫びするとともに、私の記事を読み込んだ上でご回答をいただいたことを御礼申し上げます。