第一文の構造を理解できるかは差が出そうなところ👍 https://t.co/gjHLY6JknA
— MR. BIG (@Kazuma_Kitamura) 2020年11月13日
みなさん思い思いの解釈をリプライしているため、自分で考えたい方は上のツイートをクリックしないほうが良いでしょう。
(追記 正しい解釈をしている方が見当たらなかったため、記事を書きましたが、その後正しい解釈をツイートしている方を見つけました。記事後半に掲載します。記事の意義が薄れており、また大した内容の記事でもないため、いずれこの記事を削除するかもしれません。)
For vaccination to work as well as it can requires a widespread willingness to take it. That cannot be taken for granted in a world where anti-vaccine disinformation is rife https://t.co/JfOPquXE2B
— The Economist (@TheEconomist) 2020年11月13日
誤読している方が多かったので直読直解のプロセスを解説した長文記事を書きましたが、保存する前に消えてしまったので答えだけ書きます。
自分で解きたい方は考えてから続きを読んでください。
For vaccination to work as well as it can requires a widespread willingness to take it
●第一関門
まず、一見して文頭に意味上の主語付きto不定詞"For vaccination to work "があることは分かると思います。通常意味上の主語付きto不定詞は目的の副詞節になることが多いですが、主文の「主語+述語動詞」がなかなか見つかりません。次の候補として"For vaccination to work "を名詞節と考え、主文の主語とすれば述語動詞はrequiresになります。("as well as it can"と現在形のrequiresは文法的につながりません。)
"For vaccination to work (as well as it can)"「予防接種が効果を発揮すること(+"as well as it can")」=主語
requires =述語動詞
a widespread willingness to take it「予防接種を進んで受ける気持ちが広がる事」
この構造が見抜けるかどうかが第一関門です。
*requiresの後にくる構造としては、A "requires+目的語+to不定詞"、B "requires+目的語"の2種類予想できます。
Aの場合、「(主語は) "a widespread willingness"が予防接種することを必要とする」となり意味が通りません。Bの場合、"be willing to do"という表現の名詞版と考えれば、"a widespread willingness to take it"「予防接種を進んで受ける気持ちが広がる事」が一塊だとわかります。
*記事全体を読めば分かると思いますが、Forを理由の等位接続詞と捉える解釈やForを前置詞と捉えて"For vaccination"を"to work"と切り離す読み方は文法的・意味的に無理があります。とはいえ、英文解釈教室に倣って直読直解をする限りは、"For vaccination to work"という塊を不定詞として捉える解釈を最優先にしながらも、優先度の低いForの解釈、次に来うるものを意識的・あるいは無意識的に想定・修正しつつ読んでいくのは大切なことです。
●第二関門
"as well as"は元々比較表現だったのでしょうが、次第に"and"と同様の働きをするようになり、擬似等位接続詞と呼ばれます。
誤読した方の多くは、第一関門を突破しても、ここで擬似等位接続詞の"as well as"が頭から離れず、この表現が副詞wellを用いた普通の原級比較の表現だということに気がつかず、文法的・意味的におかしい解釈であることに気づかなかったようです。
これも一種の慣用表現ですが、"as much as possible" "as much as Somebody can"という「可能な限り最大限」を表す表現があります。この表現との類似性に気づけば、"work well" 「うまく働く」と組み合わせて、以下の解釈にたどり着くでしょう。
"For vaccination to work as well as it can" 「予防接種が最大限に効果を発揮すること」
すなわち、「予防接種が最大限に効果を発揮するためには、予防接種を進んで受ける気持ちが広がる事が必要だ」(拙訳)という解釈が正しいと思います。
*誤訳の例として For vaccination to work"と"it can (work)"が"as well as"で繋がれていると考え、"as well as it can"の部分を「効果を発揮する(しうる)ことを確かめるために」と誤訳した人もいました。
●今回の"as well as"を一種の熟語として捉え、誤読するパターンは思考訓練の場としての英文解釈2巻で「紋切り型公式主義の敗北」といわれたものです。思考訓練2巻では一章を割いて大量のパターンに触れることができます。京大英語難構文の真髄では「熟語くずし」としてわずかに取り上げられており、英文解体新書でも構文の擬態としていくつか取り上げられています。
いずれも高校文法や受験英語の読解は一通り済ませた方向けの書籍です。
英文をたくさん読んでも気づかなければ誤読を重ねるだけですので、自分は誤読しているかもしれないという意識、熟語にみえるものが熟語ではないかもしれないという警戒心を持ちましょう。
(追記
下の方の解釈は正しいものです。細かいことを言えばvaccinesとvaccination は違う気もしますが概ね正しいと思います。
ワクチンが最大限に効力を発するには,ワクチンを打とうとする気持ちがひろく世に行き渡っている必要がある.しかし,ワクチンを否定するデマが蔓延っている世の中では,それも当然視できない. https://t.co/yCcBYrLq6r
— ブチギレチワワ (@koshinkokunihon) 2020年11月13日
)