英文解剖学

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京大2021 大問2 下線部(b)についての所感

京都大学2021 大問2 下線部(b)の"why not?"の3大予備校の解答が誤っている、あるいは不十分なことに気づいたため、記事を書こうとしたのですが、北村一真先生に先を越されていたことを知り、諦めました。

以下、私のコメント(解説ではありません)を載せます。記事末尾に北村先生のツイートを貼りますが、まだ解いていない方は何も見ずに問題を解くことをお勧めします。

 

(2021-03-04 追記) 解説を書きました。

tmneverdies.hatenablog.com

 

 

 

私からコメントすることとしては、

1. 駿台河合塾は"Why not?"を文脈から判断すべき、難しいポイントだと認識していながら、答案では肝心の部分を訳し逃げしています。わざわざ解答速報を作っているのですから、減点の対象になるようなポイントについて、せめて講評にはしっかりとした解釈を書くべきです。(Why not?が前文のどこに対応しているかを考慮せず、直前の部分にとらわれた解釈をしていました。言葉使いからすると駿台は正しい解釈をしている可能性が残りますが、明確な書き方をしていません。)

 

2. 代ゼミは3大予備校では唯一、訳し逃げをせず省略された部分を全て復元しています。これは勇気ある、称賛すべき態度です。ただし、著者が「これは流石に極端な例だとわかるだろう」として挙げた例を真に受けて原文の意図と真逆の解釈のアクロバティックな解釈をしています。(思考をトレースすると、"Why not?"を先に見て(間違った)解釈を決め打ちし、直前の文の解釈をそれに合わせたと思われます。)

 

3. このブログでも過去に取り上げた京都大学2014年の回答割れについては、学校文法の範囲を超えていると考えられるため、間違えた予備校にも言い訳の余地がありました。(記事でも指摘したように洋書では普通に出てくる構文なので、英語が専門の方ならば読めていて欲しいところですが・・・)

しかし、今回の下線部(b)については、完全に普通の高校生が習う文法の範囲内であり、修飾関係が曖昧など、元の文章の書き方の悪さに責任を押し付けることもできません。また、文脈的にも下線部に続く部分との整合性から正しい答えは容易に決まります。意図的に順番を変えた並び替え問題や、選択肢の作り方でいくらでも難しくなりうる内容一致問題と異なり、英文の一節を解釈するだけなのですから、問題作成者のせいにすることもできません。

 

4. もちろん、誰でも誤訳はありえます。この問題も含めて、一つの間違いを持って鬼の首を取ったように「●●の英語講師は実力がない」などと主張すべきではありません。それと同時に、この問題に関しては「京都大学の英語の問題はプロにとっても難しいことがあるから仕方ない」と片付けてはいけないと思います。京都大学の問題は通常の総合英語や市販の文法書に載っていない内容を扱うこともあります。学校文法の範囲を超えた問題であれば、受験生は文法的な知識と文脈判断の葛藤から「ままよ!」と回答する必要があり、同様に解答速報を作成する英語講師も時間制限のために悩むことはあると思います。しかし、3で挙げた理由から、今回はそのような言い訳はできません。他の教科を勉強しなければならず、試験時間やプレッシャーの大きい受験生ならともかく、あるいは一人の英語講師が時間に追われて勘違いをしてしまったというならともかく、英語講師が複数人でチェックしているはずの「京都大学」の解答速報で少なくとも2つ、あるいは3つの予備校が同じミスをしたということは大きな問題だと思います。